溶岩格闘編

建築家の自邸VOL 23(現場の溶岩の種類は?)

現場の南側に住んでいるお隣さんは、
富士山の植物研究では有名な、N先生と言われる元校長先生です。
そのN先生が、現場の溶岩堀のときに大変興味をもって、
毎日、様子を眺めていました。さすが学者です。
Blg111206e 現場が、建築家の自邸VOL 8(ついに岩盤出現)で説明した工事のときに、その出てきた超硬度な溶岩のかけらをもって、知人を訪ね調べに行ったそうです。

その知人というのが、奇石博物館の館長さんだそうです。
奇石博物館というのは、富士山の山すそにある岩石鉱物化石を
専門としている博物館で、日本では非常に珍しい博物館です。

といっても、私は地元だといつでも行けると思って、
実は一度も訪れたことがありません。
子供の頃から、前の道は何十回も通るのですが…

その奇石博物館に持ち込んで、館長さんに見てもらったそうです。
そうすると、新富士火山の時の溶岩だったと思っていたのが、
愛鷹山と同じ岩だと聞いてきたのです。

どういう意味かというと、愛鷹山は富士山の南西に位置する山で、
富士市と沼津市の境界にあります。
そんなに高い山ではないのですが、富士山が形成し始めた
数十万年~数万年前の最初の山「小御岳」と同じ時期
(箱根も同じ)ということになります。

そんな古い時代の溶岩なのかと驚きました。
富士山の形成の話は富士市のHP「富士山の歴史」を参照。

ところがです。
その館長さんが今度はじきじきに、現場にやってきたそうです。
またN先生と現場を調査し、サンプルを持ち帰ったそうです。
「もっと深く掘ってみたいなあ~」と言ったそうですが、
それはご勘弁を。

また、その後の話では、(これからは親のまた聞き)
細かく調べたら、昔は今泉溶岩と言って、富士市でも今泉地区
に多く見られる岩と確定しました。
現在の正式名称は曽比奈(ソビナ)溶岩と言うそうです。
今泉は名前の通り、湧き水が豊富に湧き出ていた地区なので、
その溶岩とは、密接な関係があるのではないかと私は思います。

ただ、溶岩がいつ形成されたものなのかという肝心な話しが、の耳に届いていません。N先生に詳しく聞いてこようと思います。また奇石博物館にも行ってみないとね。

Blg111206c Blg111206aBlg111206b 

ところで、現場はもうすぐこの溶岩が見えなくなります。埋め戻しをして、地上1階の基礎工事に入ってくるからです。

そんな折、スペインから客人がやってきました。
私が会長を務めているJIRO富士ファンクラブ
吉川二郎ギターコンサートin富士ⅩⅠ
富士市ロゼシアターで催され、そのゲストにスペインギター
製作者のビスニエト・デ・トーレス(本名ファン・フランシスコ・サルバドール・ヒメネス・トーレス)が来富士しました。

そのあたりの様子は、会員のIさんがブログで書いているので、
興味のある人は覗いてみてください。
yoppiのひとりごと

実は、フランシスコがスペインで家具製作や建築にも携わって
いるので、建築現場をみてもらおうと、現場を案内したわけです。

Blg111206d フランシスコはスペインアンダルシア地方、地中海に面したアルメリーアに住んでいて、似たような岩があるそうです。北には、ヨーロッパ最南端のスキー場のある有名なシラネバダ山脈があります。現場の富士山の溶岩を土産に、スペインへ持ち帰りました。

もちろん吉川二郎氏には、住宅完成したあかつきには、
吹き抜けのあるリビングで、ギター演奏を披露してもらいたい
とも思っています。

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建築家の自邸VOL 12(溶岩と格闘最終章)

建築家の自邸VOL 7(SE構法2)で、品確法耐震等級3が
木造より、RC部分の施工の方がはるかに影響を及ぼす事に
なった。といったまま次回となり、説明しないままでした。

Blg092606d その影響とは、まさしく溶岩との戦いを意味していたのです。

というのは、
品確法耐震等級3とは、基準法地震力の1.5倍以上の強度を
持っている建物のことであり、
それはSE構法による木造だけではなくて、全体という意味で、
地下車庫RC部分も、基準法地震力の1.5倍以上必要
という事になります。

それだけならいいのですが、塀や擁壁もが、その計算値を
クリヤーしなければならないのです。
構造的に分かれていればいいのですが、
一体となって設計したため、すべての構造物に及びました。
というよりも塀も構造の一部として支える計算でないと、
1.5倍を保つ設計が難しかったのです。

Blg092606a そして、施工上一番影響を及ぼしそうだったのが、
中庭の擁壁と、道路沿いの塀でした。
左の模型写真のところです。

そのあたりは、当初より、岩盤が出そうな場所だったので、
土工事を少なくする設計で臨んでいました。

しかし構造と打ち合わせをするたびに、どんどんヘビーに
なってしまった。具体的には土の下に隠れる底盤の大きさ
と深さの部分が予想よりかなり大きかった。

塀も擁壁も、建物じゃないところなんですよ。

だけど、コンセプト的に非常に重要な部分でもあり、
私としても譲れないところでした。

Blg092606b 岩が出たら、工事が大変になるぞ。
こうなったら、岩が出ない事祈ってやってみよう!
となりました。かけみたいなものです。

しかし、予想していたドンピシャの場所に岩盤が
出たのです。いや想像以上の大きさと硬さでした。
当たったのは場所だけ。

Blg092606c 建築工房わたなべ社長が、品確法耐震等級3に
したいと言い出したことでもあったので、
本人のブログ「住宅屋の気持ち」に記述しているように、
覚悟を決めていたみたいです。

そして、前述の岩との格闘となります。

日数を要する工事になりましたが、幸いだったことに

約束したからには、最後までやりぬくと言ってくれた
職人がたきの親方と仲間のプロ魂。
建築工房わたなべ の日ごろの下職関係の良好さ。

に助けられ、ようやく岩盤との戦いも終わろうとしています。

親方は、仕事の文句は言わない代わりに、家庭の不満を
母に話して、ストレス発散していたみたいですが(笑)

職人さんは朝7時からやってきたので、母も祖母も、
早起きして、見ているだけでも疲れたといっています。

まだ、始まったばかりだよ、普通ならこれからがスタート。
設計者の私は、お気軽にこう答えます。

解体業者の職人さんお疲れ様でした。ありがとう。
ご近所の皆様、騒々しくて申し訳ありませんでした。

ようやく、基礎工事が始まります。

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建築家の自邸VOL 9(削岩機)

その秘密兵器が凄かった。
削岩機というそうだ。
トラックにコンプレッサーが乗っていて、
そこからホースがつながっている。

Blg092006a まずは、ドリルで岩に穴を開ける。
そのときに空気圧でドリルの歯を押し込んでいるようだ。
やっと穴が開いたら、その穴に専用の鉄のくさびを打ち込む。

それも専用の機械を使って空気圧で押し込んでいる。
それでもとにかく重労働。
見ているだけで力が入って、疲れてくる。

写真のように3本ほどくさびを打ち込むと、ひびが入る。
そこで大型油圧ブレーカーで振動させると岩が崩れる。
根気よくその繰り返し。

Blg092006 最初ははかどらなかったが、職人が岩の筋を読めるように
なってから、効率よくくさびを打ちこめるようになった。
さすがプロ職人だ。
そうすると、面白いように、あの硬かった溶岩が、
五右衛門の斬鉄剣で切った様に、きれいに割れる。

まるで石切り場のようだ。

岩肌が美しくて、見とれてしまう。
コンクリート壁を作って土で埋めてしまうのは
もったいない気がしてきた。
岩の上にコンクリート壁作りたいと思ってしまう。

でもそれだと底盤がないから、構造やは
うんと言ってくれないだろう。
岩にアンカーだと計算根拠が難しい。
中庭に岩肌見せる方法ないかな~

削岩機の作業風景は、建築工房わたなべ社長ブログ
住宅屋の気持ち」にも詳しく写真載ってます。

まったく、民家の工事現場とは思えない珍しい光景に、
近所やさらに遠くからも、音を聞いて見にやってくる。
通る車も必ず止まって見て行く。

近所の皆さんには、お騒がせして大変申し訳ありません。
騒音もあと少しなので、もうしばらく辛抱お願いいたします。

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建築家の自邸VOL 8(ついに岩盤出現)

でたでたついに出た。お月さんではなくて、
巨大溶岩。
掘り始めは以外にすんなりいって、
道路高さまで掘れたので、皆さん一様に
ほっとしていたら束の間、あまかった。
富士山の溶岩をなめてはいけない。

Blg091906a 富士山は3回噴火して今の姿になったが、
2回目が古富士火山、3回目が新富士火山というそうだが、
その新富士火山時代の溶岩は、まさしく岩石といったほどの
硬さだそうで、それが現れた。
今から1万4千年ほど前のことだ。

それまでの溶岩は、子供、いや赤ちゃんレベル。
北側面を掘り始めたら、私が前回行った時に、
ほんのちょっと顔を出していた岩が次第に現れだして、
顔を出した時には、高さ2M(地中はずっと下まで)
幅15Mほどあったという。

簡単に言えば、その位置から北側を掘るには、
すべて岩盤だった。
岩の塊を掘り出すなんてレベルではない。
掘るというより、削るといった方がしっくりいく。

設計上、中庭と玄関の階段から北側となる部分。
デザイン上、かなり重要なところだ。
出るとすればそこと思っていたが、まさしくその場所
だった。ただ予想を超えた大きさだった。

先日見たスーパーマンの、海底から隆起したとがった岩
のようだ。

他の業者では、この岩見て逃げ出していたかも。
親方は必ずやってやると約束してくれたので、
そこは安心。

その硬さが半端じゃなくて、当初使用していた
油圧ブレーカー(振動して岩を砕く)が、
あまりの硬さにピンが飛んで壊れてしまったという。

次の日、ひとまわり大きな重機を持ってきたが、
歯が立たず、もうひとまわり大きな、
大型油圧ブレーカーでもまったくはかどらない。

表面をなでているだけで進まないよ(母の話)

毎日、岩が大変だ大変だと言っては、
工務店も母も、早く見に来いとうるさい。
急いで東京の仕事をかたづけ、休みとあわせて見に行った。

見に行く前日に、秘密兵器が登場したそうだ。

Blg091906 写真はその秘密兵器を仕掛けに行く姿。

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建築家の自邸VOL 5(富士山の溶岩)

いきなり工事に山場が訪れた。今回の家づくりでの
最難関は、富士山の溶岩堀である。
富士市は富士山の溶岩の上に成り立っている。
海から4キロくらいまでは平らな土地で、大昔の富士川の河口。
沼地といってもいい。

そこからはひたすら富士山山頂に向かって、傾斜している。
ちょうど、傾斜がはじまるあたりは、湧き水がいたるところで
噴出して、このあたりの地区の名前が「今泉」というくらいだ。

高度成長期に、製紙工場がその豊富な水をくみ上げすぎて、
湧き水がみんな枯れてしまった。
近年、不況で会社がばたばた倒産して、湧き水が復活しつつある。
自然を取り戻しつつあるなんて皮肉なものだ。

さて、話は戻るが、自邸つくりは道路面に車庫を作り(法律的
地下)地上2階建て(木造)を載せる構造的には3階建ての
混構造。
これは、住みながら建てかえるために、コンパクトにする必要
があった為に必然的にそうなった。

Blg091106 一番心配だったのが、富士山の溶岩だった。
敷地は元々、道路より平均2mから1.2mくらい高かった。
道路が斜路なので、場所によって敷地高さは、ばらばら。
車庫を作るにためには、敷地を2m以上掘ることになる。

すでにその敷地には溶岩が顔を出している場所もあり、
そもそも、旧家は溶岩を避けて比較的平らな部分に、
建てられていた。
逆に言うと、残った道路側計画敷地部分は溶岩だらけ。
実家の敷地は溶岩が表面近くまである土地だった。

Blg091106b 私と建築工房わたなべ と立ち会って地盤調査をかけると、
どこも50cmもいくと岩に突き当たり、調査不能となった。

出てきた値が、N値150である。
一般に、関東ローム層ならN値5、住宅はN値3でベタ基礎
木造2階建てなら、十分といわれている。
150がどれほど強大な硬さかわかってもらえると思う。

工務店社長のわたなべ さんも、それから岩ばかりが心配になった
ようだ。複雑な設計の方は、岩に比べたら、たいしたことない
と思うようになるのだから不思議だ(笑)
きっと眠れない日々が続いたんじゃないかと思う。

私も一番の心配事ではあったけど、わたなべさんが心配するほど、
何とかしてくれるだろうと安心して気が楽になった(笑)
それでも、自邸でなければ、こんなリスクはかけられない。

まだ工事途中であり、これから本格的な溶岩堀が待っているため、
油断は禁物だが、今までの状況を判断すると、
みんな一様に、「いける」と判断して関係者皆ほっとしている。

また、工事の親方が頼もしい人で、
「世の中にはけつをまくって逃げるやつもいるが、
俺は請けた仕事は、必ずやり通す。できなかったら、最初から
受けない。岩は大変だが、大丈夫。施主さんにも心配しなくて
いいと言った。俺は頑固な職人だから」
と言ってくれて、おまけに元土木をやっていた解体やさん
だから、これほど岩を知り尽くしている人もいない。

職人というのは、他の人が不可能だと言うことほど、
意欲を燃やして挑戦してくれる。
本当のプロだとつくづく思う。

すでに道路面高さは、まるで富士山5合目
登山道の様相をしている。

富士山溶岩の歴史は、富士市のホームページに
分かりやすく書いてあります。

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